赤ちゃんの発達に欠かせない”指差し”。
指差しは「ことばの始まり」や「ことばの前のことば」ともいわれているのをご存じでしょうか。
指差しは赤ちゃんが自分の思いを伝えることができるようになる第一歩で、お話しができるようになってからも使える、重要なコミュニケーションツールです。
近年の研究では、指差しがことばの理解力や語彙力に影響を与えたり、象徴機能の発達にも関与することがわかっています。
この記事では、
- 赤ちゃんがいつから指差しを始めるのか
- 指差しの練習方法
- おすすめのおもちゃや絵本
について詳しく解説。
赤ちゃんには大きな個人差があることを念頭において、あなたの育児の参考にしてみてくださいね。
発達における指差しの意味とは?

まずは、赤ちゃんがする指差しの意味について解説していきますね。
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指差しはことばの始まり
赤ちゃんが「ことばの代わり」にはじめて使う、伝達手段
赤ちゃんが自己表現を始める大切な一歩とも言える「指差し」。
まだ言葉を話せない赤ちゃんにとって、とっても大切なコミュニケーション手段の一つです。
指差しは、赤ちゃんが初めて何かを示す伝達手段。
ことばが十分に理解できない赤ちゃんでも、目の前の物や人への興味、欲求を「それが欲しい」「そこに行きたい」といった形で伝えることができます。

ン!(指をさす)

ん?あれは…ワンワンいるねぇ!

キャッキャ
指差しができるようになると、赤ちゃんの意思表示がより分かりやすくなりますよね。
そのため、大人もよりたくさんの言葉がけをするようになります。
こうしてやりとり自体が増え、コミュニケーションが活発に。
こうなると、子どもはより言葉を理解・吸収していきます。

指差しと象徴機能
象徴機能を理解・使用していくうえで、大切な指標になる
象徴機能とは、物事を別の記号(シンボル)で表すことです。
象徴機能が発達すると、目の前にない物事でも、頭の中で他のものに置き換えて表現することができるようになります。
象徴機能の代表的なものが「ことば」。
象徴機能が発達すると、ことばや想像した物事(イメージ)の扱いがうまくなっていきます。

見立て遊びやごっこ遊びは、代表的な遊びだよ。
子どもは日常の生活や遊びの中から刺激を吸収し、この想像を広げる機能が発達していきます。

想像力・思考力が鍛えられると、何か困った事象に陥っても、どうすればいいか考える事ができるように!
そして指差しにも、ことばと共通する記号的な働きがあると言われています。
指差しは象徴機能の理解の基盤になる役割があると考えられています。
指差しには象徴機能を理解・使用していくうえで、大切な指標になるんですよ。
ことばが増える?指差しのチカラ
指差しを多くした子どもの方が、ことばが増える!
指差しができるようになったら、子どもは気になるものをどんどん指差しで教えてくれます。
指差しに大人が応じ、指さしたものに反応したり名前を言ってあげるようにラベリングしてあげることで、子どもはことばをどんどん吸収し、語彙が増えていきます。
子どもも大人が応じてくれるのが嬉しくて、何度も何度も指をさします。
指差しの数が増えるとことばを学習する機会が増えるということですね。
近年の研究では、小さいうちに指差しを長く・多くした赤ちゃんの方が、のちの言語理解と語彙獲得数に良い影響を与えることが分かっています。
参考:なぜ幼児の指さしは後の言語コミュニケーションと関連しているのか?
指差しはいつから?

赤ちゃんが指差しをする時期は個人差がありますが、一般的には生後9~10ヶ月頃から始まるとされています。
指差しの種類についても詳しく見ていきましょう!
早い子は9ヶ月頃から
指差しを始める時期は、早い子で生後9ヶ月頃から。

指差しを始めると、自己表現の幅が広がりますね!
実は他にも9ヶ月頃のこの時期は、コミュニケーションの発達が目まぐるしいんです!

9ヶ月革命なんて呼ばれることも!
この時期、自分・物・大人の3方向のやりとり…すなわち三項関係が成立し、赤ちゃんはより周囲からの刺激を吸収しやすい状態に。
声のトーンで怒られていることが分かるようになったり、名前が分かるようになったりするのもこの時期から。
ことばの理解も進み、よりことばに興味を持つことで自分から「何か伝えたい!」という意欲もますます育ちます。
それまで大人と自分だけだった二項関係の世界から、どんどん広がっていっているんですね。
どんな指差しか、分析してみよう!
ここからは指差しの種類を紹介していきます。
子どもがどの指差しをしているのか、分析してみてください。

分析するとどうなるの?

指差しの意図が掴みやすくなって、コミュニケーションが取りやすくなるよ♪
指差しの理解:9ヶ月ごろ~
- 指差しができるようになる前段階
- 大人が見ているものに気付いて、一緒に見る
- 大人が指差した方向に何かがあると推測し、自分も目を向け、探す
指差しができるようになる前に、指差しの意味を理解できるようになるのが先。
大人が見ているもの、指差しをしたものに対して子どもが目を向けて、一緒に見ることができるようになります。

指差しの方向には何かあるのかな?と推測することができるようになるんだね~。
自発の指差し:11ヶ月ごろ〜
- 自分が気になったものに対しての指差し
- 周囲のものごとに対して関心が出てきた証拠
- なるべく反応してあげよう
指差しの意味が分かると、次第に使えるように。
まずは自分が気になったものから、指差しをして教えてくれます。

子どもが指差しをしたら、なるべく反応してあげましょう!
反応してもらえる嬉しさで、どんどん指差しをしてくれるように。
やりとりの楽しさを経験していくことで、コミュニケーションの基礎ができていきます!

まだ指がうまく分離できなくて、手差しになっちゃう子もいるよ。
要求の指差し:1歳ごろ〜
- 欲しいものを取ってもらいたいとき
- 行きたい方向があるとき
- 「あー」と言いながら差すことも
1歳頃になると、届かないところにあるものや、行きたい方向があるときに指差しをするようになります。

この頃になると、明確に指差しを言葉の代わりとして使用していますね!
共感の指差し(叙述の指差し):1歳〜1歳6ヶ月
- 共感してもらうための指差し
- 興味のあるものや、見たものを伝えるとき
- 反応があるまで指差しをしたり、声を出してアピール
- 指差した対象物と大人の顔を交互に見比べたりする
- 社会性の発達に重要な指差し
指差しが上手になってくると、自分が見たもの、感動したもの、興味のあるものを大人に伝えるために指差しをするようになります。

あーー!あー!(みてみて!これ!)
このとき、指差しや声を出してアピールしたり、大人と対象物を交互に見比べたり。
何度も何度も、大人が反応するまで続けたりします(笑)。

興味や感動を分かち合おうとしているんですね!カワイイ~!!
大人と自分だけだった世界が広がって、色んな物事に気付いて、世界を吸収する途中なんですね。
指差しが頻繁になってちょっと疲れることもあるかもしれませんが、なるべく反応してあげたいところ。
社会性の発達においても重要な指差しです。
応答の指差し:1歳6ヶ月ごろ〜
- 「どれ?」「どこ?」に対して、指を差して答える
- 簡単なことばの理解ができている
- 1歳半健診でチェックされる指差しはコレ!
応答の指差しは指差しの完成形。

「~どれかな?」「~はどこかな?」などの質問に指差しで答えることができるようになります。
この頃になるとコミュニケーションがグンと取りやすくなっていることでしょう。
1歳半健診でチェックされる指差しはこちらの指差しです。
指差しの前兆?手差しとクレーン現象
指差しの前に見られることがある「手差し」と「クレーン現象」について解説します。
手差し
手差しは、指差しの前兆ともいえる行動。
全ての手、あるいは手の甲を使って一生懸命表してくれるこの動作。
まだ指をコントロールする力がない赤ちゃんは、手差しから始まることも。
指差しがなかなかできなくても、手差しができていれば指差しはすぐですよ。
「ママ、やって!」大人の手を使わせようとする『クレーン現象』
さらに、赤ちゃんによっては「クレーン現象」と呼ばれる行動も観察されます。
赤ちゃんが大人の手首を掴んで指を操作し、自分の欲しいところへ向けようとさせる動作です。
手を突然掴まれて好きな方向に持って行かれるので、初めてされると戸惑ってしまう大人も多いのではないでしょうか。

…!(ガッと大人の手をつかんで、ボタンの上に持って行く)

ボタン押したかったんだね~。ポチっと

キャッキャ(満足げ)
これは自分ではまだどうにもならない状況を理解して、大人の力を借りて解決しようとしているんですね。
クレーン現象は、指差しや手差しを使えない乳児期にはよく見られます。
指差しやことばなど、意思表示の手段がよく分かっていない証拠とも言えますね。
ひとり指差し
上記の指差し以外にも、『一人指差し』という赤ちゃんが自分のために行う指差しがあります。
これは独り言を言うようなもので、他者に向けたものではありません。
絵を指差しながら喃語をつぶやいたり、音のなる方向を指をさしてじっと見つめたり…
そばに人がいても関係なく、自分のために行う一人指差し。
一人指差しは、他の人に意思を伝える『伝達手段としての指差し』と同時期にみられます。
指さしを始めて間もない0歳後期から 1 歳初期の子どもは、周りの人に向けた指差しよりも『一人指差し』の頻度の方が多いようです。
指差しをしなくて心配…練習したほうがいいの?
赤ちゃんがなかなか指差しを始めないとき、親としては心配になりますよね。
指差しは普段の生活の中から大人が意識していれば、効果的に促すことができます。
ただ、無理に指差しをさせることは避けてください。
あくまで赤ちゃんの個性に合わせて、楽しくコミュニケーションを取ることが大切です。

赤ちゃんの発達は個人差が大きいので、基本的には心配しすぎなくても大丈夫です!

次で指差しの練習方法を紹介していくよ!
おすすめの練習方法!

ここからはおすすめの練習方法をご紹介!
おすすめのおもちゃや絵本についても紹介します。
大人が指差しをしてみせる
赤ちゃんは何でも大人の真似からものごとを吸収していきます。
まずは大人がモデルとなり、指差しをしてみせてあげましょう。
おもちゃを使って「これは~」と言いながら指さしたり、外を散歩しながら色々な物を指差すなど、普段の生活の中で自然に取り入れてみてくださいね。
指差しの形ができるように促す
赤ちゃんにとって、指先を1本ずつ分離させるのは難しいこと。
手の形を少しずつ指差しに近づけていくトレーニングをしてみましょう。
- 絵本を読みながら、絵柄を一緒に指差し
- 指差しを作って、ボタンを一緒に押す
やり方は簡単。
赤ちゃんの手を両手で包むようにしながら、人差し指以外の指を軽く握る形に誘導してあげます。
このとき、人差し指の形にこだわらなくても大丈夫。
何となく指差しの形になればOKです。
自分で気になるものに手が出る赤ちゃんには、なるべくスムーズに指差しの形を作ってあげてください。
人差し指の形にこだわりすぎて、手の動きを阻害しないようにしましょう。

だいたいで大丈夫だよ!
ボタンのついたおもちゃや絵本を上手に使いながら、一緒に楽しみましょう。
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一緒になぞって指先を鍛えよう

これはボクのお気に入り絵本♪
指先の運動を促す知育おもちゃはレンタルもおすすめ
指先の運動を促すおもちゃは使用期間が短いので、レンタルもおすすめです。
0歳代は特にどんなおもちゃで遊べばいいのか迷いがち。
発達に合ったおもちゃをプロが選んでくれるレンタルサービスを利用すれば、指先の知育も効率よく行えます。


おもちゃのリクエストができる2社をピックアップ!

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指差ししたい気持ちを促す
赤ちゃんが何かを求める場面や、何かを共有したい気持ちが出てきた場面を増やせば、自然と指差しをする機会も増やすことができます。
- 2つの物を提示して、選んでもらう
- 手が届かないところに欲しいものを置いてみる
- 思わず触りたくなるような仕掛けの絵本も効果的
- 「あっ、見つけた!」遊びをしよう
- 指差し出来たら褒めてあげよう
「どっちにする?」
2つのものを提示して、子どもが選ぶときに手を伸ばすように誘導してみてください。
手を伸ばすときに指差しの形を作ってあげるとより効果的です。

私はよく、絵本どっち読む?をやってます。
「あれ欲しい」を引き出す
手が届かないところに好きなおもちゃを置いてみるのも良いですよ。
こちらのやり方で初めて誘導するときは、子どもと同じ目線になってから、指差しをしてみせながら「○○(取りたいもの)を取りたいんだね」と教えてあげてください。
1回欲しがるごとに1~2回やってみせるくらいでOK。
その場で何回も繰り返し促すのではなく、やりとり自体を増やすようにしてみてください。

イジワルにならない程度にしてね
「指でイジイジ」を狙う
思わず触りたくなるような絵本も、指差しの練習に効果的。
立体的なおもちゃは掴んでしまいがちな赤ちゃんも、絵本は指で触るという行動をとりやすいです。
もいもい探しの穴がある
ふわふわで触りたくなる
「見ぃつけた!」遊び
大人が指をさして「あっ!見ぃつけた!」とおもちゃを指さして遊ぶのもおすすめ。
「あっ!ボール見つけた♪」といってボールを投げて遊んだり、
「あっ!くまちゃん見つけた♪○○ちゃん、こんにちは!」とぬいぐるみで遊びます。
指差しの形を繰り返し見せることができ、楽しそうに一緒に遊ぶことで指差しへの興味も高まりますよ。
ポイントは楽しい気持ちを共有すること
指差しの練習を無理強いするのではなく、楽しく遊びながら自然に練習することがポイント。
大人と赤ちゃんが一緒に楽しみながら時間を過ごすことで、指差しがもっとしたくなるはずです!

指差しができたら、褒めてあげてくださいね♪
指差しを促すのに絵本はマスト!おすすめ絵本

前にも絵本について少し触れましたが、絵本は指差しには欠かせないアイテム。
赤ちゃんの興味や関心を引き出し、指差しを促すことにつながります!
ここからはおすすめ絵本と選び方のコツを紹介していきますね。
0歳~指差しを促そう!おすすめ絵本
- コントラストのはっきりしたもの
- 触りたくなるような仕掛け絵本
- 複雑すぎる絵よりは、分かりやすい絵
色鮮やかな絵本や、シンプルで見やすい絵本などがオススメ。
赤ちゃんは視空間認知が未熟なため、絵と背景の区別や、形の弁別がまだ上手ではありません。
複雑で要素の多い絵よりは、シンプルで見やすい絵本を選ぶと良いでしょう。

一つずつのイラストがはっきり見える絵の方が指差しを促しやすいよ。
イラストが大きくて見やすい
不思議な〇を追いかけて指差したり、穴をイジイジできる
ボタンを押してみたくなる♪手遊び歌絵本もおすすめ
0歳のおすすめ絵本について

1歳~指差しを始めた子どもへのおすすめ絵本
指差しに慣れてきたら、1ページのイラストの数を増やして挑戦。
動物や乗り物、日常の出来事を描いたものなど、比較的生活の中で親しみやすい本がおすすめです。
「~はどこかな?」「あっ、〇〇だね!」などの言葉がけと一緒に、指差しを促してみてくださいね。
きんぎょはどこかな?人気絵本
「~はどこ?」「~はどれ?」大人が問いかけやすい絵本
指差しが上手になったら…コレもおすすめ
指差しが良く見られるようになってきたら、ことばの吸収が促せる本がおすすめです。
たくさん指差しを促して、ことばの理解力と語彙力を高めましょう♪

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まとめ
指差しについて解説しました。
指差しは、赤ちゃんにとって大切なコミュニケーションツールの一つ。
発達においても重要な指標の一つで、象徴機能やことばの理解力、語彙力に影響を与えることが分かりました。
おすすめのおもちゃや絵本をうまく取り入れながら、赤ちゃんの発達をサポートしてあげてくださいね。

発達には個人差があるため、焦らずにゆっくりと見守っていきましょう。

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